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Yahoo!フリマの評価制度は誰を守っているのか?「評価する人」を評価する仕組みが必要だ

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この記事は約19分で読めます。

先日、Yahoo!フリマで100件以上の取引を行ってきて、初めて「悪い評価」をつけられた。

もちろん私も人間なので、ミスをする事もあれば、相手に不快な思いをさせる事もあるだろう。悪い評価をつけられたからといって、それ自体に文句を言うつもりはない。

しかし今回の評価理由は、

「取引開始後、一切連絡が取れず不安な取引となりました。非常に残念です。」

というもの。

いや、購入から1時間以内に発送して、発送通知まで送ってるんですけど。

もちろん商品も問題なく届いている。

実際には購入前のやり取りから色々あったわけだが、今回言いたいのは、理不尽な購入者に当たって腹が立ったという話ではない。

この一件で気になったのが、Yahoo!フリマの評価システムそのものの欠陥だ。

例えば、100件以上の良い評価を受け、迅速な発送を続けている出品者が、ある日突然1件の悪い評価を受けたとする。

それが正当な評価なら仕方ない。

しかし、取引履歴を見る限り出品者は適切に対応していて、評価した購入者には過去にも不自然な要求やトラブルが多かったとしたらどうだろう。

その1件を、そのまま「悪い評価1件」として扱ってよいのだろうか。

そもそも人間の主観でつけられる評価を、全員同じ1票として扱う事に無理があるのではないか。

今回は、Yahoo!フリマで実際に経験したトラブルをきっかけに、評価する人の信用度も考慮した、新しい評価システムを考えてみたい。

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カテゴリを変えて値下げしてくれたら「前向きに検討する」

まずは何があったのかを説明したい。

9月27日、Yahoo!フリマに4500円で出品していた商品にこんなコメントがついた。

「日用品カテゴリに変更・4,000円までお値引きは難しいでしょうか?今別のものも検討中ではあるのですが、上記可能でしたら前向きに購入検討させていただきたいです。」

つまり、500円値下げして、さらに商品と関係ないカテゴリに変更してくれたら、買う事を前向きに検討してやる。という話だ。

まず、商品と異なるカテゴリへの変更はYahoo!フリマの規約違反である。

カテゴリ限定クーポンなどを不正利用する目的で、商品と関係ないカテゴリへの変更を依頼する行為については、Yahoo!フリマ自身が明確に禁止している。

Yahoo!フリマ公式:カテゴリ限定クーポンの不正利用について

しかも、そこまで対応しても買うとは言っていない。

なんでこちらが規約違反のリスクを負い、500円値引きした上で、購入するかどうかの判断を待たなければならないのか。

まぁコメントしている当人が ぷぷぷカテ変再出品OK評価0NGという規約違反宣言している奴なのでそもそもアレなのだが。

という事でスルーした。

ところが3日後、別に出品していた商品に「最短いつ発送が可能でしょうか?」という質問が来た。

私は基本的に、売れたものは可能な限りすぐ発送するようにしている。この日も当日発送可能で、すぐ購入してもらえれば1時間以内に発送すると回答した。

すると、先日質問してきた人と同じアカウントである事に気づく。

さらに、先日の商品の値下げは難しいのかと再び聞いてきた。

値下げしても買うかどうか分からないという回答だったので、返信しなかったと説明すると、今度は値下げすれば即決したいとの事。

まぁ、カテゴリ変更の件は言ってこなくなったし、こちらも早く売ってしまいたい。

では4,000円にするので30分以内に購入してください。と回答した。

ここまではよかった。

即決すると言って30分。そこから即時発送を要求

こちらは30分後に外出する予定があったため、その前に発送するつもりだった。

ところがなかなか購入されない。

もうブロックして出かけようとしたその時、(その時点では30分過ぎに購入されたと思っていたが、)29分後に購入された。

さらに5分後、

「最短での発送」をお願いするメッセージまで入っていた。

いやいや。そちらがすぐに購入してくれていれば、余裕を持って発送出来たんですけど。

とはいえ、売れた商品を発送しないわけにもいかない。

急いで出かける準備と梱包を行い発送したので購入から1時間以内には発送通知を送った。

通常、フリマアプリで必要なコミュニケーションは、購入・決済・発送・受取確認である。

もちろん丁寧に「ご購入ありがとうございます。短い間ですがよろしくお願いします。」などと挨拶する人もいる。

それはそれでよいと思うが、システム上で購入と発送の通知が行われるのに、毎回定型文を送り合う事にどこまで意味があるのだろうか。

個人的には買う側の時に発送通知来た上、「発送しました!」とかコメント来ると 知ってるわ。と思いながらも「ありがとうございます~。到着楽しみにしております!」とかやりとりするのが面倒。

少なくとも私は、購入後に挨拶メッセージを送るより、1時間以内に発送する方が相手にとって価値があると考えている。

まぁ単純にあんまりこいつと会話したくないという思いが勝った。

その後、商品はとっくに届いていると思われるが相手からも連絡はなく、ゴールド出品者であれば、評価されなくても入金申請可能なのでこちらも特に連絡する事はなかった。

 

しかし購入から8日後、ヤフオク、メルカリ、ラクマ含めて人生で初めて悪い評価がついた。

「取引開始後、一切連絡が取れず不安な取引となりました。」

……え?

そもそも取引開始後、相手から何か質問されて回答しなかったわけではない。少なくとも確認できる履歴上、返答を求められたまま放置した問い合わせはない。

購入から1時間以内に発送通知が届き、荷物の配送状況も確認でき、実際に商品も届いている。

これで「一切連絡が取れず不安」とはどういう事なのだろう。

私自身、値下げ交渉に対する返答は魔除けを兼ねてぶっきらぼうにしているし、購入後の挨拶がなかった事を不安に思う人もいるのかもしれない。

ただ、少なくとも発送した事実と、定型的な挨拶がなかった事実は分けて評価すべきではないか。

 

このやり取りだけで、相手が最初から嫌がらせをするつもりだったと断定する事は出来ないが、

自分は、カテゴリ変更、値引き、最短発送の上で検討などと都合の良い事を言っているわりに、30分以内に購入と言われれば29分後の購入。発送後数日で到着しているのに8日間温めた上で低評価というのはまぁ最初から低評価をつけるつもりで買ったのではと邪推する。

そして、ここからが本題である。

Yahoo!フリマの評価は一方通行

Yahoo!フリマの評価制度は、購入者が出品者を評価する一方通行の仕組みとなっている。

出品者は購入者に対して評価する事が出来ない。

しかも評価は「良い」「悪い」の2段階。

通常、問題なく取引が終了すれば「良い」がつき、何らかの不満があれば「悪い」がつく。

Yahoo!フリマ公式:出品者からの評価について

一方、メルカリでは購入者と出品者の双方が評価を行い、取引完了時に同時公開される。

Airbnbの宿泊レビューも双方向で、双方の投稿が終わるか期限が来るまで互いの評価を見る事は出来ない。

こうした設計は、評価される側だけでなく、評価する側にも取引に対する責任を持たせる仕組みだ。

ではYahoo!フリマも双方向にすればよいのか。

実は話はそう簡単ではない。

双方向評価には、悪い評価をつけると報復で悪い評価を返されるという問題がある。

実際、世界最大級のマーケットプレイスであるeBayは、出品者が購入者に対して悪い評価をつける事を認めていない。

つまりYahoo!フリマが片側評価を採用している事にも、購入者が報復を恐れず本音を言えるというメリットはある。

ただし、そこには逆方向の問題がある。

評価する側は悪い評価をつけられるリスクがなく、評価される側だけが信用を失う。

しかもYahoo!フリマのヘルプでは、不当な評価であっても原則として変更や削除は出来ず、運営側は評価が適切かどうかを判断する立場にないと説明している。

Yahoo!フリマ公式:よくあるお困りごと

これでは、購入者が事実と異なる評価を行ったとしても、出品者に出来る事は極めて限られる。

サービスの健全性を保つための評価が、場合によっては嫌がらせの道具になってしまうわけだ。

プロフィールが簡単すぎることで生まれる問題

ここで、Yahoo!フリマの設計について、もう一つ気になる点がある。

Yahoo!フリマのプロフィールには、基本的にアイコンと名前しか表示されない。

しかも、その名前はYahoo!ショッピングなど、Yahoo!の他サービスでも共通して使われるアカウント名である。

つまり、フリマで取引する相手がどのような人なのか、過去にどのような取引をしてきたのか、どのような事情があるのかを、プロフィールから知ることがほとんどできない。

もちろん、個人情報を過剰に公開する必要はない。

しかし、例えば旅行や出張で1週間発送できない、返信が遅れる可能性がある、発送は週末のみ、といった取引上重要な情報を書いておく場所すらない。

購入者からすれば、発送されるまで何日も待たされると不安になる。

出品者からすれば、発送予定や対応可能な時間帯を事前に伝えたくても、その情報をプロフィールに書けない。

さらに、Yahoo!フリマでは発送通知が、実質的に取引上の重要な連絡を兼ねている。

発送通知が届けば、購入者は発送されたことを確認できる。逆に言えば、発送通知までの間に、必ずしも個別のメッセージが送られるとは限らない。

この前提が共有されていなければ、「発送通知が届くまで連絡がなかった」「挨拶がなかったから不安だった」という評価につながる可能性がある。

本来なら、プロフィールに「発送通知をもって発送連絡とします」「通常、購入後24時間以内に発送します」「旅行中は発送が遅れます」といった情報を書ければ、購入者の期待値を調整できる。

しかし、プロフィールがアイコンと名前だけでは、それができない。

簡単に使えるように情報を減らした結果、取引に必要な前提情報まで共有できなくなっている。

これは評価制度だけの問題ではない。

サービスを簡単にしようとして、別の場所に新たな不安や誤解を生み出している。

なぜ「悪い評価1件」は必ず1件なのか

現在の評価システムは非常にシンプルだ。

良い評価は1件、悪い評価も1件。

誰が評価しても、基本的には同じ1票として扱われる。

しかし、人間の評価基準は同じではない。

例えば同じレストランに行ったとして、ある人は「料理も美味しかったし店員も普通だったから星5」と評価する。

一方、別の人は「料理は美味しかったけど、店員の笑顔が少なかったので星3」とする。

どちらが正しいのだろうか。

答えは、どちらもその人にとっては正しい。

ただし、それぞれの評価を同じ意味として扱ってよいかは別問題だ。

以前、トリップアドバイザーのフランス法人の方と話した際にも、フランス人と日本人ではレビューのつけ方が違い、日本人は満足していても最高評価をつけない事が多い、という話を聞いた。

日本人にとっての星4は十分に満足したという意味でも、別の国の人にとっては星4が明確な不満を含む評価かもしれない。

もちろん個人差もある。

いつも最高評価をつける人もいれば、どんなによいサービスを受けても最高評価はつけない人もいる。

つまり評価とは、評価対象の品質だけでなく、評価する人の期待値や価値観にも左右される。

そんなものを全部同じ1票として集計するのは、かなり乱暴な話ではないか。

これが今回提案したい評価のキャリブレーション(補正)である。

ただし、今回のYahoo!フリマには5段階評価すらない。

良いか、悪いか。

だからこそ、悪い評価1件に対して、もう少し慎重な判断が必要だと思う。

悪い評価を0.1~1.0件の範囲で補正してもいいのではないか

ここからは私が考えた評価制度の改善案である。

例えば、これまで100件以上の良い評価を受け、悪い評価が一度もなかった出品者がいたとする。

発送も迅速で、商品が届かなかったなどのトラブルも確認されていない。

その人が初めて悪い評価を受けた場合、これを無条件に1件として加算すべきなのだろうか。

当然、評価内容による。

実際に商品が届かなかったり、説明と違うものが届いたりしたのであれば、過去にどれだけ良い評価があろうと悪い評価1件でよい。

しかし、発送は早く、商品も届いていて、問い合わせにも適切に回答していた。

それなのに「一切連絡が取れず不安だった」という評価がついたとしたら。

さらに、その購入者が過去にも商品と関係ないカテゴリ変更を繰り返し依頼していたり、似たような理由で低評価を乱発していたとしたらどうだろう。

そうした情報を総合して、その悪い評価を一律に1件ではなく、0.1~1.0件の範囲で補正してもよいのではないか。

これは過去の実績がよい出品者を無条件に優遇するという話ではない。

出品者の実績、購入者の評価傾向、今回の取引履歴を組み合わせて、悪い評価そのものの妥当性を判定するという話だ。

例えば、次のような運用を考えている。

AIが評価者と被評価者の双方について、これまでの評価実績を分析する。出品者として何件の評価を受けてきたかだけでなく、購入者として過去にどのような評価をつけてきたのかも含めて確認する。

そのうえで、今回の取引について、購入から発送通知までのリードタイム、配送状況、質問への回答状況、過去の交渉内容などを照合する。

明確な問題が確認された正当な低評価なら1.0件。

不満には一定の理由があるものの、客観的な根拠が乏しい場合は0.5件前後。

取引履歴との矛盾が大きく、嫌がらせの可能性が高い場合は0.1~0.3件程度。

もちろん、これらの数字は説明のための例であり、特定の条件だけで機械的に決めるものではない。実際の係数は複数の情報をAIが総合的に判断して決定する。

また、虚偽や報復目的であることが明確に確認された評価については、補正ではなく無効化してもよいだろう。

重要なのは、低評価をつける人の評価を一律に軽くする事ではない。

例えば過去に低評価を多くつけていたとしても、それらが正当な理由に基づくものであれば、その人の評価を軽くする必要はない。

反対に、過去にほとんど低評価をつけた事がない人であっても、今回の評価が事実に反するものであれば、重みを下げる余地がある。

つまり、評価者の信用度と今回の取引の妥当性を分けて確認し、最終的に一つの係数へ反映する仕組みだ。

AIによる判定の精度や、誤判定のリスクも考慮する必要があるが、今まで1件か0件しかなかった評価に、中間的な扱いを設ける事には意味があると思う。

0.3件の悪い評価は、どう表示するのか

さて、ここで仮にAIが今回の悪い評価を0.3件相当と判定したとして、それをそのままユーザーに見せても意味がない。

「良い評価139件、悪い評価0.3件」

そんな表示をされても分かりにくいし、かえって不安になるだろう。

そこで、評価の内部データは小数点以下まで保持し、ユーザーへの表示は整数にする。

例えば、小数部分を四捨五入する方式だ。

今回のように悪い評価が初めてつき、AIによる審査で0.3件と判定された場合、

内部データ:悪い評価0.3件

ユーザーへの表示:悪い評価0件

となる。

次に別の購入者から悪い評価がついたとして、それが0.2件相当だった場合は、

0.3 + 0.2 = 0.5件

となるので、四捨五入して悪い評価1件と表示される。

つまり、悪い評価がついても、1件として表示するほどの根拠がない場合は、いったん内部に留保する仕組みだ。

一方、正当な悪い評価が1件ついた場合は、そのまま1件として加算する。

さらに、1件未満の低評価については、一定期間が経過したら失効させてもよいと思う。

例えば1年間、ほかに問題のある取引が確認されなければ、その0.3件を0件にする。

これは過去の不正を帳消しにするという話ではない。

明確な問題が確認されていない、ごく小さなマイナス評価を、永久に蓄積し続ける必要があるのかという話だ。

評価の履歴自体は運営側で保持しておき、同様の問題が繰り返された場合には判定の参考にする。

また、正当な低評価1件まで1年で消える仕組みにしてはいけない。

あくまで、不確実な評価を永久に出品者の信用に反映し続けないための制度である。

なお、実装する場合は、小数の評価をまとめて四捨五入するタイミングや、1年後の失効処理について細かい設計が必要になる。

しかし、基本的な発想はそれほど複雑ではない。

悪い評価だからといって、全部同じ重さにする必要はない。

これだけである。

誰が評価の重みを判断するのか。そこでAIの出番

もちろん、低評価がつくたびに人間が取引履歴を全部確認していては、運営コストが膨大になる。

そこでAIを使う。

フリマアプリの運営会社には、通常のユーザーには見えない取引データが存在している。

例えば、

  • 購入者と出品者の過去の評価・取引実績
  • 購入者が過去につけた評価の傾向
  • 購入前の質問や値下げ交渉の内容
  • 購入から発送通知までのリードタイム
  • 実際の配送状況
  • 取引中のメッセージ履歴
  • 過去のトラブルや違反行為の記録

こうした情報をAIに分析させれば、少なくとも明確な矛盾を見つける事は出来るはずだ。

今回のケースなら、購入者は「一切連絡が取れず不安だった」と評価している。

しかし出品者は購入前の質問に回答し、購入から1時間以内に発送通知を送っている。

しかも、購入者自身が商品と関係ないカテゴリへの変更を求めていた記録もある。

これだけで悪意があったと断定する事は出来ないが、少なくとも「一切連絡が取れなかった」という評価理由には、確認すべき点がある。

さらに、評価者が過去にも同じような取引を繰り返しているのかを確認する。

もちろん、値下げ交渉が多いだけで悪質ユーザーと判断してはいけない。

頻繁に質問する人だっているし、商品に問題があれば何度も問い合わせるのは当然である。

重要なのは、行動の回数ではなく、その内容と文脈だ。

例えば、規約違反の依頼を繰り返している、取引相手の対応に問題がなくても低評価をつけ続けている、値下げを断られた相手にだけ悪い評価をつける傾向がある。

こうした複数の事実が重なれば、嫌がらせ評価の可能性を検討する材料になる。

もちろん購入者側が正当な苦情を伝えているケースもある。出品者の高評価が多いというだけで、その苦情を軽視してはいけない。

だからAIには最終的な裁判官ではなく、取引履歴を確認する審査担当の役割を持たせる。

AIが明確な問題を見つけたら、必要に応じて運営側が確認する。

そして、出品者から異議申し立てがあった場合は、同じ基準で再審査出来るようにする。

これなら悪い評価を受けた側も、泣き寝入りするしかないという状態から脱却出来る。

評価する側の評価スコアも必要だ

さらに、私が重要だと思うのは、評価した購入者の信用度である。

出品者には良い評価と悪い評価が蓄積される。

しかし、Yahoo!フリマでは購入者に対して評価をつける事が出来ない。

そのため、購入者がどのような取引をしてきた人なのか、ほかの出品者には分からない。

これはかなり不公平な話だと思う。

購入者が報復評価を恐れずに評価できるメリットは理解出来る。

ただ、報復されないからといって、何を書いてもよいわけではない。

そこで、購入者にも内部的な信用スコアを持たせる。

出品者からの直接評価がなくても、システム上で把握できる情報はある。

過去に規約違反の依頼を繰り返していないか。評価内容に客観的な矛盾が多くないか。取引相手とのトラブルに一定の傾向がないか。

こうした行動の実績から、評価者としての信頼性を判断する。

ここで重要なのは、低評価をよくつける人=悪質な購入者、ではない事だ。

本当に粗悪な商品ばかり購入していれば、低評価が多くなるのは当然だろう。

むしろ、そのような正当な低評価をきちんとつける人は、プラットフォームにとって重要な存在である。

問題は、正当な評価をする人と、個人的な不満を利用して相手の信用を傷つけようとする人を、同じ評価者として扱う事なのだ。

この区別は容易ではない。

だからこそ、過去の評価傾向だけではなく、個々の取引履歴と照らし合わせる必要がある。

LINEヤフーだからこそ実現できるのではないか

ここからはビジネスの話。

評価のキャリブレーションは、単にAIを導入すれば実現出来るものではない。

膨大な取引データが必要になるし、過去の評価やメッセージ、配送履歴などを適切に分析する仕組みも必要だ。

その点で、Yahoo!フリマを運営するLINEヤフーは、国内でも有力な候補だと思う。

AIカンパニーとしての挑戦|LINEヤフー株式会社
LINEヤフー株式会社のAIカンパニーとしての挑戦のページです

検索、広告、メッセージ、ショッピング、オークション、フリマなど、生活者が日常的に使うサービスを幅広く展開している。

決済や金融分野でも、PayPayをはじめとするグループ・関係会社との事業上の接点がある。

もちろん、これらのデータを自由に結合してよいわけではない。

サービスごとの利用目的や本人同意、個人情報保護の制約があるため、すべてのデータを無条件でAIに分析させられるわけではない。

ただ、Yahoo!フリマ単体でも相当な取引データが蓄積されているはずである。

さらに、LINEヤフーが関わるカカクコムの買収提案をめぐる動きも興味深い。

カカクコムは価格比較や飲食店のレビューなど、生活者の評価と購買意思決定に深く関わる事業を持っており、LINEヤフーはそのデータを狙っている。

そもそもLINEもスコアレンディング事業に手をだした過去もあり、ビッグデータを活用する事で0か1ではない世界を可視化する事に長けているはずなのだ。

もしこうした領域で評価データの分析技術を高度化出来れば、フリマだけにとどまらない応用も考えられる。

 

ここで言いたいのは、企業買収によって個々のユーザーの評価データを自由に共有すべきだという事ではない。

様々なレビューや取引が発生するサービスを持つ企業にとって、評価の信頼性を高める技術は、将来的に共通の競争力になるのではないかという話だ。

そもそもYahoo!フリマにとって何のメリットがあるのか

当然、こんな仕組みを作るのにはシステム開発費もAIの利用料もかかる。

異議申し立ての仕組みまで導入すれば、運営コストも増える。

だったら、今のままでいいじゃん。と思うかもしれない。

しかし、CtoCプラットフォームにおいて、信用とは売買を成立させるためのインフラである。

そもそもフリマアプリは、自分で商品を仕入れて売っているわけではない。

商品を出品する人がいて、それを買う人がいるから、プラットフォームは手数料を得られる。

では、迅速に発送し、適切に対応している出品者が、理不尽な評価を繰り返し受けて嫌気が差したらどうなるだろうか。

最初はたった1人かもしれない。

しかし、それが積み重なれば出品数が減り、購入者の選択肢が減り、最終的に流通総額(GMV)が下がる。

プラットフォームにとっての損失は、出品者1人の機嫌が悪くなる事ではない。

本来成立していたはずの取引が、今後成立しなくなる事にある。

一方、購入者にとっても評価制度の精度が高まるメリットはある。

単に良い評価が多い出品者と、実際に安心して取引出来る出品者は必ずしも同じではない。

例えば、発送が早い、商品説明が正確、問い合わせへの回答が適切といった情報を使えば、もっと信頼性の高い出品者を見つけやすくなるだろう。

これは購入率や継続利用にもつながる可能性がある。

評価システムの改善は、出品者への救済措置ではなく、取引の成立率を高めるための投資でもある。

差別化要素の少ないフリマサービスでこれができれば十分に事業上の合理性があると思う。

最初から全部をAIに判断させなくてもいい

ここまでの仕組みを実装するには、かなりの検証が必要になるだろう。

AIが購入者の正当な苦情を不当に無効化するようでは、かえってサービスの信用を失う。

また、高評価が多い出品者だけを保護する仕組みにしてしまうと、実績のある出品者による不正を見逃しかねない。

だから最初から全取引に対して0.1件単位の評価を導入する必要はない。

私なら段階的に実装する。

まずは、悪い評価を受けた出品者が、取引履歴を根拠として異議申し立て出来るようにする。

(Yahooフリマにはその機能すらないのが問題なのだが)

そのうえで、AIが配送状況やメッセージ履歴、評価内容を確認し、明らかに不自然なものを抽出する。

次に、購入者の過去の行動も含めた評価のキャリブレーションを試験的に導入する。

最初は明確に不正と判断出来る評価のみを無効化してもよい。

判定の精度が上がり、運営上の問題がない事を確認してから、中間的な評価係数を採用する。

この順番なら現実的ではないだろうか。

そして、補正された低評価は単純に削除するのではなく、運営側では履歴を保持する。

購入者にも、必要に応じて判定への異議申し立ての機会を設ける。

一度のAI判定で、誰かの信用を永久に決めてしまうべきではないからだ。

まとめ:評価される側だけが信用を問われる時代は終わるべき

今回、Yahoo!フリマで初めて悪い評価をつけられた。

これまで139件の良い評価を受けてきたので、悪い評価が1件ついたからといって、すぐに売れなくなるような事はないだろう。

正直、金銭的なダメージはほとんどないと思う。

しかし、私より実績の少ない出品者が同じような評価を受けたらどうだろうか。

取引件数3件のうち1件が悪い評価なら、かなり不安な出品者に見えるはずだ。

実際には購入者に問題があったのかもしれないし、出品者が本当に悪かったのかもしれない。

その違いは評価件数だけでは分からない。

私は基本的には、出品者と購入者がお互いを評価する双方向評価の方がよいと思っている。

しかし、Yahoo!フリマが購入者だけに評価権限を与えるのであれば、少なくとも、その評価が信用に足るものなのかを判定する仕組みは必要だろう。

評価する側の過去の行動、出品者の取引実績、今回の取引で実際に起きた事。

それらを組み合わせて、悪い評価を0.1~1.0件の範囲で補正する。不正が明確な評価については無効化する。

不確実な低評価は、一定期間問題がなければ失効させる。

もちろん、正当な苦情はきちんと1件として反映する。

大切なのは、悪い評価を減らす事ではない。

評価に見合った信用上の影響を与える事である。

今までは、誰かがつけた評価を単純に足し算するしかなかった。

しかし現在はAIを使って、評価に至った経緯や事実関係まで分析出来る時代である。

それならば、評価される側だけでなく、評価する側の信用も考慮した方がよい。

LINEヤフーほどの技術力とユーザー基盤を持つ企業なら、ぜひ挑戦してほしいと思う。

と、ここまで理屈をこねてみたが、今回の件で私が一番言いたい事はもっとシンプルである。

500円値引きして、1時間以内に発送して、悪い評価。

……やっぱり最初に取引してはいけないと直感的に感じたら従った方がいいな。

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