昨年7月、突如発表した過去最大セール「プライムデー」を発表したのを皮切りに「プライム・ビデオ」「Prime Music」と様々なサービスをリリースしてきたAmazon。
本日、容量無制限のフォトストレージ「プライム・フォト」が発表された。
今日はその利便性と注意点を書いていく
(企業側視点での)Amazon Primeおさらい
2016/2/1追記
元々お急ぎ便(最短当日商品届け)サービスとして始まったAmazonプライム。
米国では半数の世帯が会員との情報もあるが国土が広く、通常配送だと到着まで1週間は当たり前の中、2日以内到着無料が大きなメリットで加入者を伸ばし続けている。
日本は世界トップクラスの配送インフラなので無料会員でも注文翌日に届く事はざらで、価格がアメリカの半額でも率先して参加する意味はなかった。
企業にとって一定期間毎に固定の支払いをしてくれる有料会員はストックビジネスとなり、収益予測が立てやすくなる事から是非とも欲しい。
特にAmazonは利益の大半を設備投資にまわして株主から拍手喝采される世界唯一の企業 なので、プライム会員が増えるほど、大型投資がやりやすくなる。
そこで、有料会員に、有料会員である限り追加料金無しで使えるサービスを次々リリースする事により新規顧客を獲得し、既存顧客離れを防いでいる。
今回は写真の保存先を追加料金無しで提供しますよと言ってきているわけだ。
今まで写真の管理はどうしていたのか?
私が初めて手に入れたデジカメは1999年に買ったサンヨーのマルチーズDSC-X110なので実に17年前と長い。
2000年あたりから携帯電話にもカメラが搭載しだすが、10~30万画素のトイカメラで
デジカメは必要。でも毎日持ち歩くほどでは無い。写真を撮るようになったのは大学生になって海外に行くようになってからだ。
当然だが当時オンラインストレージ等無い。しいて言うならmixiに写真をアップするとか、自分宛にGmailで送るとか方法無くもないがそんなのせいぜい数十枚だ。
必然的に外付けHDDを使う事になる。しかも小型の2.5インチは高額かつ容量が少ないので3.5インチのデカいやつだ。
さらに2006年にバックアップHDDとそれをさらにバックアップしていたHDD(ようするにRAID1) 2台が立て続けに壊れた。
実はさらに別のバックアップHDDがあったので全てのデータがなくなる事はなかったが、2006年に撮影した写真のほとんどが消えてしまった。
ほとんど、というのは、その頃にはGoogleのオンラインフォトストレージ、Picasaにお気に入りの写真を縮小保存していたのである意味大事な写真は残ったのだ。
この経験からクラウド、オンラインストレージの方を信用するようになっていく。
一方2010年5月に以下オンラインストレージ活用記事を書いてから5年半経ち、SkydriveはOnedriveに名前を変え容量が変わり、N Driveはサービス終了するなどの変化があった。
いろんなサービスが出てきたが、写真は一貫してPicasaを使ってきた。
理由は長辺が2048ドットまでの写真を無制限でアップロード出来るし、Best Albumというアプリで見るとスマホから快適にアクセス出来たからだ。
そのスマホも、iPhone4あたりからデジカメの代わりを果たすレベルの撮影が出来るようになってきた。
→iPhoneユーザーのためのデジカメ購入ガイド(間接的に防水デジカメ特集)
iPhone4を使って感じたのが、デジカメには無いジオタグ(位置情報記憶)とSNSやメール、オンラインストレージに即アップ出来る機能がある一方、バッテリーの持ち、光学ズーム、キセノンフラッシュ等でデジカメに追いついていない。
そこで、デジカメ+Eye-fiでiPhoneを経由する事で撮影した写真をPicasaに自動保存する事を実現し、2012年に「SNS時代の写真共有法」という内容でプレゼンしたのだが、その後、PicasaはGoogle+となり、Googleフォト変わっていく間に希望通りの順番にフォルダが並ばなくなり、勝手にファイルが作られるようになる等余計な機能がついたので使わなくなった。
結局今はデジカメもそうそう持ち歩かなくなったのでOnedriveの自動保存で済ませているがこれも今後容量が削減される。
オンラインストレージビジネスに各社限界を感じている中、今回Amazonが新たに投入したのがプライム・フォトとなる。
今までと何が違うのか?
今までのサービスとプライムフォトの大きな違いは、有料サービスである点なのだが、それでいうとYahoo!ボックスも有料サービスYahoo!プレミアムの一サービスだ。
一番大きな違いは、プライムフォトは法人向けに提供しているクラウドサービスAWSのオンラインストレージAmazon S3を流用している点だと考える。(他社は個人向けのフリーミアムサービスから始まっている)
Amazonの考え方として、利益が出た分はほとんど投資する。特にAWSは世界最大のクラウドサービスであり毎日のようにデータセンターを作り、設備を増強している。
個人法人問わず共通のストレージを使う事で無駄な投資を避け、リソースを最適化できる。
無料で使えるAmazon Cloud Driveは5GBなのであまり使うメリットが無いので、ストレージ利用者の大半は有料会員となる。
さらに何でも保存出来るわけではなくあくまで写真限定なので膨大なデータをアップロードしてくるのはごく一部に限られる。
リスクは
もちろんそれが想定以上に現れると月のアップロード上限を課す事もありうるが、そこは世界有数のビッグデータを使いこなすAmazon。なんらかのテストマーケを行い大丈夫と判断したのだろう。
ここからも、未来永劫の保証は出来ないとしても当分の間は安定して利用出来るのではないかと思う。
それより怖いのが、今回のプライムフォトやプライムビデオで釣っておいて、Amazonプライムの値上げを行う可能性だ。
配送料の相場が全然違うとはいえ、アメリカのプライムは99ドルと日本の3倍だ。
そのアメリカ版プライムは元々79ドルで、2014年に20ドル値上げしているのだ。
→ Here’s why Amazon Prime can afford to raise prices (2014年3月14日)
簡単にいうと競合の多いクラウド領域(法人)での値上げは難しい事から個人から取る事にしたようだ。
ビデオやミュージックは辞めれば以降見られなくなる、聴けなくなるだけだが、フォトは自身の大切なデータだ。
もし今までのデジカメやスマホの写真全てプライムフォトに保存していて、ある日、来月以降プライム料金10000円になりますと言われても簡単には辞められない。
ではどうするのか?
おそらくAmazonもまずは魅力的なコンテンツを大量投下し、値上げの機会を伺っているのではないかと考える。
圧倒的な低価格で競合排除して市場を制してから値上げするのは流通業の基本だ。
Amazonの経営手段は、まず大まかな予測を立て、市場のシェアを奪います。すると手のひらを返したようにスイッチをオンに切り替え、価格を上げたり、資本支出をカットして投資分を取り戻しており、こういった経営手段はポンジ・スキームと呼ばれる投資詐欺の一種であるとブログの筆者は語っています。また、Amazonの報告による区分別収入を表すグラフでは、Amazonのビジネスはネットショッピングだけではなく、雑貨やメディアなどの全く別の産業や市場からも大きな収入を得ているのが分かります。
→ Amazonが1995年からどのようにして利益をあげてきたかわかるグラフ
そして消費者も使い続ける言い訳を考える。10000円でも月にすれば833円だ。huluより安いじゃないかと。
同時に非プライム会員への無料配送廃止が発表されれば、結構Amazonで買い物してるし送料無料になるなら10000円は悪くないなと。
元々お試し登録して気づかぬうちに年会費の3900円取られてて怒ってたのにだ。
正直Amazonミュージックは求めている曲がほとんど無いので聴かないがプライムビデオは悪くない。
プライムビデオはChromeCastで見られないので微妙だと思っていたが、いつのまにかPS3で視聴出来るようになっていた。
これについては別の機会に紹介するが、やはりTVで見られるのは良い。
オリジナルドラマMR.ROBOTが面白い!
配送業者との交渉に限界が出て佐川からヤマトに変わり、全品送料無料から一部の商品は配送料がかかるようになった。
→ 要求高くて対価は低い 佐川がアマゾンとの取引撤退 宅配業界大揺れ
アメリカの値上げは9年かけているが私は早くて来年、遅くとも2~3年後には5000円~10000円程度にしてくるのではないかと考えている。
もしくはコストコのようにAmazonを使うならプライム会員になる事必須となり有料会員が増える事で対応するかもしれない。
プライムフォトを使う場合は、そこも踏まえて検討した方が良いだろう。
ー2016/1/26追記ー
プライムフォトデビューキャンペーンが始まった。
40名様にカメラ商品、150名様にカメラストア全品でご利用可能な最大10万円分のクーポンをプレゼントとの事。
RICOHのTHETAが欲しいけど”プレゼント対象となるカメラはお選びいただけません”だそうだが、プライム会員であれば操作を覚える練習も兼ねて応募してみては?
コメント