メルペイが描くなめらかな決済が今っぽい

クレカ・電子マネー

2019年2月1日、メルカリの売上金がメルカリ子会社のメルペイに移管された。

メルペイ自体はよくニュースで名前を聞くがサービスリリースされていないので謎の多いサービスであるが少しずつ思惑が見えてきたので考察したい。

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メルペイとは

メルペイはメルカリの金融会社として2017年11月20日に設立された「信用を創造して、なめらかな社会を創る」会社だ。

LINEはLINEPay株式会社、ソフトバンクグループはPayPay株式会社、メルカリもそれにならったものである。

なお、楽天ペイや楽天キャッシュは楽天株式会社本体が運営しているが、楽天カード株式会社、楽天銀行株式会社、楽天Edy株式会社といった子会社のライセンスをうまく使いながら事業を成立させている。

日本で金融業をやろうとすると様々な法規制を受けるため大きい会社で免許を取り、運営していくのは厳しく子会社を作るのが一般的だ。

これらの会社の特徴は、ほぼ全ての社員が親会社からの出向で占められており会社も同じ場所で登記されており別会社化しているものの事実上の本体の金融グループである。

 

しかし、ヤフー(ソフトバンク)や楽天のような幅広いサービスを提供している会社が決済に乗り出すのは分かるが、フリマアプリのメルカリが出す決済なんて、雨後の筍の如く生まれる「なんちゃらPay」の一つでしょ。と思いがちだがメルペイはどうもそれらと違う気がする。

 

メルカリのビジネスモデルを振り返る

そもそもメルカリはフリマスペースの提供と、買い手と売り手のエクスクロー(仲介)を行うビジネスなのでヤフオクのように利用者が個人情報を交換する事なく取引が出来るサービスで、その手数料として買い手から、売上金の10%をもらうのがビジネスモデルだ。

残った9割を使って改めてメルカリで買い物をしてくれれば、つねに流れるお金の10%を取り続ける事が出来る。

赤矢印が新たにメルカリに外部から入ってきた原資。クレジットカード決済の場合、カード会社に3%ほど手数料を払っている事からまるまる10%が利益にはならないが青矢印の流れは全てメルカリ内で動いておりBさんからCさんに流れた9,000円の10%の900円はメルカリの利益となる。Cさんがまた8,100円でメルカリ商品を落札すれば810円が入る、、、とメルカリ側からすれば入ってきたお金を極力メルカリ経済圏に留めておきたい。

 

本音は出品者への支払いは、メルカリでしか使えないポイントにしたいところだがそれだと”売る専門の人”は使わなくなる。そうなると、ヤフオクやラクマ(フリル)に劣るため、売上金は銀行口座から出金が出来るようになっている。

出金期間を1年間にする事で、売上金溜まってるけど急ぎじゃないし今度やろう→あ、メルカリに前から欲しかった商品が出品されてる!売上金で買おう。と思わせてきた。

しかし、このやり方だと資産保全義務や本人確認義務が発生する資金移動業者の免許が必要なサービスに相当するのではと金融庁から示唆されたため、2017年12月4日からは売上金保持期間を90日に短縮し、売上金残高から一度ポイントを購入し、そのポイントを使って商品を購入するというまどろっこしい取引ルールを制定せざるを得なかった。

当時は上場前のため具体的な数値は分からないが、取扱ルール変更によって今までメルカリ内でまわっていた相当の売上金が流出(引き出された)と思われる。

上記の形だとメルカリは最初の10%しか取れない。実際は振込額1万円以下の場合ユーザーから210円の手数料を取るが、メルカリから銀行に支払う振込手数料なので美味しくない。1万円を超えるとユーザーは手数料無料で銀行振込出来るが、メルカリは銀行に手数料を支払っており、ますます美味しくない。

 

さて、メルペイの設立が2017年11月20日で、売上金の取扱ルールを変更したのが同年12月4日と2週間の違いに着目したい。

金融庁の指摘は突然来たわけではないだろう事から、もしかしたらメルペイは、この取扱ルールに対応するために設立したが移管するには期間が短すぎて断念したのかもしれない。

もしくは間に合わないので取扱ルールを変更するが、いつか対応するために設立したのだろう。

その状態で今日に至るが、ついにその売上金が子会社メルペイに移管される事となった。

メルペイが描くなめらかな決済とは

という事は、大きくなったメルカリ社では色々制約があって出来なかったけど、子会社のメルペイ社が売上金を管理するようになって以前のように戻るのね。

というのは早合点だ。

メルペイは、PayPayやLINEPayのように、実店舗で決済出来る電子マネーを発行する。

そんなのOrigamiPayやファミマPayや銀行Payと一緒でしょ。もうお腹いっぱいです。 というのも早合点。

 

メルペイで使うマネーは、メルカリでモノを売った際の売上金だ。

今、世の中にあまたあるなんちゃらPayは、クレジットカードか銀行振り込みか現金チャージか。ともかく自分の身銭をチャージして使う事が前提となっている。

しかしメルペイはいらないものを売って、そのお金で街の商店で日用品を買うのだ。

言い方は悪いが貧困層でも使えるというところが他のペイとの大きな違いとなる。

先日、アリババのジャック・マー会長が『若者がモバイル決済を好むのはお金がないからだ』と言って中国で賛否両論が出ている。

若者がスマホ決済をするのは「お金がないから」=アリババ会長の発言が物議―中国
2019年1月23日、中国青年報は、「ダボス会議において阿里巴巴(アリババ)の馬雲(ジャック・マー)会長が『若者がモバイル決済を好むのはお金がないからだ』と発言したことが中国のネット上で物議を醸している」とする記事を掲載した。記事はまず、…

これって感情論を抜きにすると事実で、東証一部上場企業に勤める筆者でも潤沢に資金があるとは言えない中、前向きにいうと、今まではお金がないと買えなかったものが手に入るようになり、生きる糧となり明日も頑張ろうと思えるのではないだろうか。

また、そもそも日本でも終身雇用制度が終わり、出世が全てという考え方がなくなりミニマリストを筆頭に物質的豊かさを求めない世界が広がる中で定職には付かないが、誰にも迷惑かけてないし自身は楽しく生きている人も増えた。

そういう人たちが身の回りの不要物をメルカリで売って、他の人のいらないものをメルカリでメルカリ売上金使って買って、あまった売上金使って今日の夕飯をスーパーで買うのだ。

スーパーでメルペイ決済されると、スーパーからメルペイに数%の決済手数料が入る。

上記例ではメルペイ加盟店契約が3.3%だった場合。1万円で1,300円獲得出来た。

もちろんシステム投資や人件費といった間接費はかかるが、クレカからチャージされていないメルカリ売上金が外に出る最後まで手数料が取れるようになっていく。

 

メルカリがかかげる「なめらか」という言葉は、スマートニュース株式会社代表取締役会長にして、メルカリの社外取締役である鈴木健氏の著書、「なめらかな社会とその敵」から取られた。

ビジネス書のバイブル的扱いをされる事もあるので興味のある方は読んでもらいたいが、なめらかというのは0 or 1ではないという事だ。

それに従うと、PayPayの100億円キャンペーンのようなマネはしないだろう。

突然聞いたことも無い電子マネーをみんながダウンロードして入金して、普段いかないビックカメラに長蛇の列を作ってTwitterで買ったものを報告して、キャンペーンが終わったとたん誰も使わなくなるなんて0!→1!→0!と極端なデジタルな世界でなめらかの真逆だからだ。

気づいたら浸透していたね。というのがなめらかな世界だし、なめらかな決済なのだ。

決済方法はQRじゃない?

もちろん私含めたサラリーマンも使うがステレオタイプのメルペイ利用者のペルソナを考えるとパワーユーザーは低所得者層となるだろう。

メルカリの売上金はいらないものから生まれたボーナスであり、自分の金融資産から入金しなくてよいというのが利用を促進させるだろう。

あまりITリテラシーは高くないがスマホは所持しており面倒な事はしたくないがSNSで拡散された方法は試すタイプなので、とにかく“考えさせない””利用までの準備が無い”事が重要となる。

また、取扱店舗も大衆チェーンがターゲットとなりそうだ。

大衆チェーンであれば、すでにクレジットカードやFelica電子マネーに対応しているところが大半であり、利用者側が面倒なQRコード決済を率先して対応する必要は無い

本命Felicaか大穴でNFCコンタクトレスを採用するのではと睨んでいる。

Felicaであれば、みずほ銀行のようにSuica網を使うのがプリペイド同士で相性が良さそうだが、同じくApple Pay、GooglePay両対応しているQUICPay+の方が有り得そうだし、ドコモ販売のAndroidならGooglePayとは別のおサイフケータイに対応している事からiDも可能性がある。

以上の事から、ApplePayで使える「Suica」「iD」「QUICPay」のいずれかで利用か。

 

大穴でVISAのタッチ決済、Visa paywave対応も有りうるかと思っている。メルカリはUKは撤退したが、アメリカではまだ頑張っており最初からグローバル展開を意識している会社だ。

VISAはオリンピックの公式スポンサーであり、会場で唯一使える決済サービスとなっている。多くの外国人が訪日するであろう2020年東京オリンピックに向け、マクドナルドやローソン、イオン等VISA PayWave採用店舗も増えてきており、VISAネットワークに乗っかってペイメントでも世界展開を目指すというのはありえるかと思う。

一方で、iPhoneはマスターカードコンタクトレスに対応するが、Visa payWave非対応。というか今のところVISA排除に動いており使えるようになる目処が立たない。

そのため、将来的には対応するかもしれないが、日本ではFelica採用が濃厚だろう。

ではQRや他の決済手段は取らないのかというと、最近はスマホ価格の高騰から2万円代で買えるHuaweiのP20 Lite等GooglePayもおサイフケータイも使えないスマホ人気も高まっている。

メルペイのセールス職を見るに加盟店開拓は行っているようなので、中・小規模店舗向けにQRや、プリペイドクレカの発行でマルチで使える決済を目指すのではと思っている。

Felicaやクレジットカードを使うとその決済処理を行うゲートウェイ事業者に手数料を払う必要があるため、決済提供側もコード決済の方が利益が高くなるという裏事情も加味しないといけない。

2/13更新

予想通りiD(Felica)が採用された。

iOSから先行導入され、メルカリアプリを4.0.0にアップデートすれば本日から使えるようになるとの事!

メルカリの新しいスマホ決済サービス「メルペイ」、 第一弾として非接触決済サービス「iD」に対応
株式会社メルペイは、フリマアプリ「メルカリ」において、2019年2月13日よりスマホ決済サービス「メルペイ」をiOS先行(注1)にて提供開始しましたので、お知らせいたします。 このたび第一弾として 、三井住友カード株式会社との事業連携を通じ、非接触決済サービス「iD」(注2)に対応いたします。 株式会社メルペイは、2...

それだけで終わらないなめらかな社会

元々メルカリは2013年、「株式会社コウゾウ」という会社から生まれた会社で、9ヶ月後には株式会社メルカリに社名変更しているが元々フリマアプリだけをやろうと設立された会社では無い

まぁサービスの知名度があがったのでサービス名=社名にするのは戦略上仕方がない事だ。

株式会社ZOZOだって、元々はスタートトゥデイだし、株式会社ミクシィだって、求人サイトFind Jobを運営するイー・マーキュリーだった。

メルカリはシェアサイクル「メルチャリ」等にも進出しており、フリマアプリ メルカリの次のビジネスを作るミッションを持つ「株式会社ソウゾウ」が運営している。

メルペイがなめらかに市場に侵入してくると、クレジットカードやローン的な信用は無いけどメルペイの売上金を活用して暮らしている人が、今は売るものが無くて売上金も残ってないけどセールになっているこれは今手に入れておきたいなというシーンが出てくるだろう。

そういう時に、今までのメルカリの実績、メルチャリの返却履歴、協業している企業(例えばみずほ銀行など)の履歴から、この人にはアプリのボタン一回押せば3万円まで貸し付けても貸し倒れリスクは少ないというのが分かってくる。

困ったな。お金無いから友達に借りたいけどあいつも金持ってないもんな。なんて人がふとメルペイの画面を見ると、3万円ならすぐに入金してあげますよーと。

これは、すでに中国でAlipayが、胡麻信用(ジーマ信用)の名でユーザーをスコアレンディングし、貸付可能額を算出し、花唄(フアベイ)という名で貸付を行っており、中国全土で大規模セールが行われる「独身の日」には、2017年のモバイル決済総額の40%が花唄の利用であった事から実績もある。

そして、これが冒頭に記載したメルペイのミッション「信用を創造して、なめらかな社会を創る」の「信用(クレジット)」に当たる。

まとめ

まだまだ数年モバイル決済の戦いが続くが、いずれ淘汰されていく。

これだけ資金や人を投下するのは、決済のその先を見ており日本でのAlipay、WechatPayの座を目指しているのだ。

そしてメルペイは、貸付需要が高い層を獲得出来る決済サービスであり、まずはオリックス等のローンカード利用者を取り込み、エコノミーシェアを拡大させ、持たざる者から支持されるサービスになりえる素質をもったサービスといえるだろう。

心配なのは、海外事業がうまくいかない中、国内での利益を投下し、赤字が続く中メガベンチャーとの消耗戦に耐えきれるかだ。

メルカリの次のビジネスを創造するコウゾウから、早くもう一本の柱が出てくる事を期待している。

メルカリ-フリマアプリ&スマホ決済メルペイ

メルカリ-フリマアプリ&スマホ決済メルペイ
開発元:Mercari, Inc.
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